対話でわかる痛快明解 経済学史

 松尾匡教授の『対話でわかる痛快明解 経済学史』を拝読しました。
 内容は、古典派の時代、新古典派の時代、ケインジアンの時代、新しい古典派の時代の各時代を代表する経済学者を取り上げ、彼らとイタコを使ったような対話(?)をすることで、各々の経済学理論を解説するというスタイルでした。
 終章では、現在の経済学理論がどのような展望を見せているかにも触れ、経済学の役割や使命についても言及しています。

対話でわかる 痛快明解 経済学史

対話でわかる 痛快明解 経済学史

 経済学史の本を読むのは初めてでしたが、経済学理論がどのように発展してきたかを知ることは、各理論を学んでいく上でも非常に有用だと感じました。各理論の概要や問題点を予め知っておくと、学習がスムーズに進むので、学部1,2年生にもオススメかもしれません。
 そして、終章の複数均衡理論での

 たまたま歴史的に与えられた均衡では、最大限マシになるように努力しても不幸に陥っている人が、別の均衡ではもっと幸せになれるかもしれない。人々の性格も能力も全く変わらなかったとしても、そういうことは起こるわけです。(p293)

 という記述は、自己責任論が蔓延る今の時代にこそ、皆が意識すべきことなんじゃないかと思いましたし、これから私が学ぼうとする現在経済学の真骨頂なのかなと感じ入りました。
 

    • -

 新財務大臣は、円高容認の発言をしたり、高橋是清宰相のファンだと発言したりで、真意がどこにあるのかいま一つ分からない方のように思いました。願わくばダルマ宰相になって頂きたいものです。