コンパクトマクロ経済学

 飯田泰之准教授・中里透准教授の『コンパクトマクロ経済学』を拝読しました。
 大学生や資格試験受験者をターゲットにしているそうで、IS-LM分析などで、あえて数値例による解説をいれているなどの配慮が見受けられます。

コンパクトマクロ経済学 (コンパクト経済学ライブラリ)

コンパクトマクロ経済学 (コンパクト経済学ライブラリ)

 全8章で構成されていますが、序章(GDP有効需要原則などの解説)も含めると、IS-LM分析のために、半分の4章分(2章:財市場の均衡、3章:金融市場の均衡、4章:IS-LM分析)が割かれており、残りの章も、AD-ASモデルの解説(5章)や、ルーカスとフリードマンの対立(6章)などですので、成長理論は取り上げられていません。
 IS-LM分析メインなので、成長理論など異なる分析手法の要素がなく、初学者にとっては、非常に読みやすいのではないでしょうか。レイアウトも白黒の単調なものではなく、重要な語句や図表に、青を使っているので、見やすいものとなっています。ですので、(物価が一定などの仮定にさえ注意すれば)意欲的な高校生でも十分に読みこなせそうです。
 学部のマクロは、ある程度理解できてるよという(僕みたいなレベルの)人にとっても、第7章の現代マクロ経済学の展望の簡単な説明や、第8章の日本経済のマクロ経済分析が、興味深く読めるので、重宝すると思います。
 資格試験のための一冊目としても、授業に出ず単位をとろうとする不届き者にもニーズがありそうですし、非常に売れそうな本ですが、まだ2刷までしかいってないんですね。1,000円前後の価格だともっと売れそうな気がしますが、値段以上の価値はあると思います。
 
 参考文献みると、僕が次に読むべきは、やはりチャンの最適化本のような気がします。とはいえ、会計士試験をもう一回受けなきゃいけなくなったので、これは9月までおあずけですが。(T_T)